フットサルヒーローズ、3部作の集大成を語る・代表理事/牟田口勇人インタビュー第3弾

~僕がボイストレーニングとバク転を始めたワケ~

「これで一旦終わりにしようと思っているんですよ」
SNSでもフットサルヒーローズの告知やユニフォーム姿を幾度となく見るようになったその日、牟田口勇人はそう口を開いた。全盛期とも思えるこのタイミングで、仕掛け人が自ら「終わり」を告げる理由に迫った。

映画の3部作に見立てたフットサルヒーローズ

- 間もなくフットサルヒーローズvsローマ選抜が開催されますね。これはどういった経緯で?

元々「フットサル神戸フェスタ」というイベントがあって、コロナ禍になる前はそこで海外のチームを呼んだ試合が行われていました。その時にイタリアのメンバーをアレンジしていたのが「イタリアチャレンジ」という団体で。今回フットサルヒーローズに「一緒にやらないか」と声を掛けてくれたんです。

- すごい、イタリアチャレンジの方から声を掛けてくれたんですね。

フットサルヒーローズはおかげさまで思っている以上に認知が取れています。言ってしまえばトップリーグの勢いが思うように無いなか、人が集まるコンテンツとして認識してもらえたのは大きいかなと。

- それなのに、このタイミングで「終わりにしようかな」と思うようになったことが不思議です。

傍から見ればそうですよね。でも、元々自分の中ではフットサルヒーローズを映画のように見立てていて。人気映画って続編があることも多いですが、だいたい3部作で一区切りするじゃないですか。だからヒーローズも3回で一旦終わりにして、次また新しいストーリーが始まるよって予感させてもいいのかなと。

- ということは、手ごたえも上々だったってことですよね…?

「手応え」って言われるとまたそれは微妙で。スポンサーもなかなかつかないですし。ですけれど、お客さんが“見たい!”と思ってくれているのは事実で、その辺りへの手応えは感じられています。今も「チケット販売はいつからですか?」って問い合わせがバンバン来ますから(笑)

選手から寄せられる期待と隠された苦悩

- ここで一区切りにするっていうことは、次の作戦ももう立て始めてます…?

ん-色々考えてはいるんですけど、決まってはないです。正直、どの方向性にでも進めるなと思っていて。どんなスタイルにするかも、どこでやるかも。国内外、どこでも選択肢になり得ますからね。

- これまでのような試合を見たいという人も、まだいると思いますが…。

それはもちろん有難いことではあります。それに「出たい」と言ってくれる選手も増えてきて。ここからは嬉しい悲鳴なんですが、こうして魅力的な選手がたくさんいる中で、限られた人数を選ぶのが実は結構大変なんです(苦笑)

- 下世話な話ですけれど、出たい選手が多いって言うのはギャランティなのかなとか思ってしまって。

突っ込んできますね(笑)、けれど、正直なところ今のフットサルヒーローズは交通費程度しかお出ししていません。それでも出たいって言ってもらえるのは、やっぱりキラキラしているからだと思うんです。たくさんの人に見てもらえたり、自分の名前の入ったユニフォームを買ってもらえたり。あとは昔の仲間とまた一緒にプレーできることや、かつては対戦相手だったライバルとも一緒のチームで戦える、ヒーローズを通して起こるクロスオーバーみたいなものはやっぱり魅力的なようです。

めざすはジャニーズやエグザイルのスポーツ版!?

- 改めて、そんな存在にまでなれたフットサルヒーローズは、次どこへ向かうんでしょうか?

すごく抽象的な言い方になってしまうのですが、キラキラしているものからギラギラしているものへ転換していきたいと思っています。物質的な価値って言うんですかね、もっと手に取るようにわかる価値を持たせていきたいんです。

例えばですけど、出場する選手には一人10万円出しますよと。もしそんな団体があったとしたら、正直なところ出たい選手は一層燃えますよね。ひとたびオーディションでもすれば、かなり熾烈になるでしょうし。もちろんお金だけが価値じゃないのは僕もわかってますが、どうしたって本気になる。

- あとはその資金源をどこに持つか…

一つは集客ですよね、それとマーケティング。結局そこがしっかりしていないと、お金も人も集まりませんから。

- ボトルネックを感じている点はありますか?

正直それはフットサル市場そのものです。このスポーツ自体が今、盛り上がりに欠けていて、どうしても広がっていかないし盛り上がっていかない。ここは打開していかなければいけないですし、その打開方法が問われているように感じています。

- 牟田口さんなりのアイデアはありますか?

一つには、他の層からお客さんを取ってくること。…と言うと、よく言われるのがサッカーに集まるお客さんなのですが、僕的には「他の層」ってスポーツじゃないと思っていて。だって、そのお客さんはスポーツという面では満たされているじゃないですか。だからこそ、違うジャンルからお客さんを呼べないかなと。それで今注目しているのが歌とかダンスとかその辺です。現に僕、今ボイストレーニングとバク転を習い始めたんですよ(笑)

- 相変わらずすごい行動力…。

いや思うんですけど、サッカーとかフットサルって成熟するまでがすごく長いですよね。「今一番脂が乗ってる」って言われるのが20代後半とかじゃないですか。みんな小学校とかから始めているのに。それだけ長い期間積み重ねたものを持っていて、積み重ねるだけの素質もある。であれば、フットサル選手がそのポテンシャルを活かしてダンスや歌を習得して、本気の本気で両方やっても面白いんじゃないかと考えています。

- すごい、ジャニーズみたいに何でもやっちゃう、できちゃう集団…

そうなんです、ジャニーズだったりエグザイルだったりのスポーツ版をつくれたら面白くないですか?バックダンサーも下部組織の人たちで、とか…

- なるほど、今後のフットサルヒーローズも楽しみになってきました!

ありがとうございます。ひとまず第1章は今回の最強軍団ローマ選抜との試合で一区切りなので是非試合を楽しんで頂ければと思います!
インタビュアー/河合 萌花